俺おれぶどう畑 ぶどう棚の設計#7 強風にも耐えられる強度を持たせる

今回は、俺おれぶどう畑の設計のポイントの5つめについてご紹介したいと思います。

以下のポイントに注意して設計しました。

シャインマスカット、藤稔、ピオーネ、巨峰を栽培しています。

  1. フレッシャーズなので、コストミニマムでスモールスタートにする
  2. 見上げる姿勢や腰をかがめる姿勢を最小限にする
  3. シャインマスカットは雨に弱いので、雨除けのための屋根を設置する
  4. 管理がしやすい、短梢剪定で、一文字栽培とする
  5. 強風にも耐えられる強度を持たせる
  6. 軌道に乗ったら、拡張できるように拡張性を持たせる
  強風にも耐えられる強度を持たせる
今回は、ぶどう棚の強度について説明していきます。

強風を受けてせっかくのぶどう棚が崩壊してしまうと悲しいですよね。
また、飛ばされた部材が他人にご迷惑をおかけするのは是非避けたいという思いで
よくよく、考えてみました。

南側には、畑と道路を挟んで民家があり、北側には太陽光発電パネルが設置されています。
東西は田んぼや用水と畑で比較的開けていますので、西風がもっとも厳し条件となりそうです。
  • 強風を受ける時期、シチュエーション
  • 風圧はどのくらい?
  • 強風に耐える、強風を避ける方法
これらについて考えてみました。

強風を受ける時期、シチュエーション
やはり、台風でしょう。台風の襲来の時期は7月~9月です。
地理的には冬場を中心に西風が強いものの、やはり台風が最強だと思います。

俺おれぶどう畑は、トンネルメッシュで農ポリなどで雨除けをする予定ですが、
これ幸いにも、台風シーズンは、暑さ対策で、農ポリははがしている時期でしょうから屋根が飛ぶことはなさそうです。

しかし、収穫時期を目の前に、直接強風被害を受けるのは避けたいところ。
屋根の問題は回避できそうですから、防風ネットを設置することで計画してみます。
防風ネットは、単管パイプを支柱にし、単管パイプの間にエクセル線#14を上下に渡してクリップでネットを固定する方法としました。

ちなみに、風対策としてネットに「防風ネット」の文献が多数紹介されています。
ネットの高さは、屋根の高さ以上にしましょうということですが、強風から守りたいものからの距離については、ネットの高さの20倍の距離まで、風の影響を抑えることができると数多くの記載が見つかります。かなり効果があるんですね。

うちのぶどう畑は、棚から1m程度を囲う感じで考えたいので、あまり関係なさそうです。




風圧はどのくらい?

防風ネットを設置することにしたので、防風ネットにかかる風圧力を計算をしてみました。
ネットの高さは、3mの単管を50cm地中に差し込むので2.5m。
ネットのメッシュは、一般的な4㎜メッシュとしました。繊維太さはだいたい0.8㎜かな。

計算した結果、1面あたり、幅2.5m、高さ2.5mの防風ネットに約270kgもの力がかかるようです。

詳しい計算はこのようになります。
大日エンジニアリングさんとリューエイ産業さんのサイトを参考に計算してみました。

さらに詳しく知りたい方は、
建築基準法施行令第87条、及び平成12年建設省告示第1454号 をご覧ください。

速度圧 q=0.6・E・Vo2(N/㎡)

        E=Er2・Gf

風圧力 P=Cf・q・a(N㎡)

[その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて30m/s〜46m/sまでの範囲内において国土交通大臣が定める風速]

Er:平均風速の高さ方向分布

Vo:平均風速

Gf:ガスト影響係数(瞬間最大風速/平均風速)

a:充実率(ネットなので、受圧面積はメッシュ粗さとメッシュ線径に依存します)

Cf:風力係数

H:工作物の高さ(m)


ここで、俺おれぶどう畑がある場所は、

平均風速 Voは 34m/s

地表面粗度区分はⅢ

工作物の高さ Hは 2.5m。

Hが5m以下なので、

Er = 1.7×(5/450)^0.2 = 0.69

またGfはHが10m以下なので2.5です。

したがって、

E = 0.69×0.69×2.5 = 1.19

q = 0.6×1.19×34×34 = 828(N/㎡)

a = 1 -(4-0.8)×(4-0.8)/(4×4)= 0.36

よって風圧力 P は

P = 1.4×828×0.36 = 418 N/ (43kgf/)

1平方メートルあたり約43kgの力がかかるんですね。
では、ネットの面積はというと、1面で高さ2.5m、幅2.5mだとすると
1面あたり、270kgもかかるんですね。。。

 強風に耐える、強風を避ける方法

270kgもの風荷重に耐えるなんて、一応、単管を斜めに支えるようにするので、大丈夫そうだとは思いますが、引き抜き力が働くので、簡単ではなさそうです。

そこそこの基礎と構造物にしなければいけないのでしょうね。

一方、これは、あくまで単管パイプ支柱からネットが取れない前提のお話です。強風が吹いたら、防風ネット自体はどうなるのでしょう。

ネット自体はエクセル線#14(直径2㎜)で、メーカカタログによると強度は140kgだそうです。

ということは、エクセル線が破断して、ネットが飛んでいく~ってことでしょうかね。

なんだかんだ、奥が深すぎてこれ以上は難しいので、写真にあるような単管支柱とエクセル線で防風ネットを設置することにしました。

次回は、拡張性を持たせる、をお送りします。



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